附属病院・感染免疫内科附属病院・感染免疫内科

肝炎について

肝炎とは肝臓の細胞が炎症などによって破壊される病態です。
原因としてはウイルス、アルコール、自己免疫などがありますが、日本ではB型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルスの感染による肝炎が多くを占めており、肝炎ウイルスは国内でみられる重要な慢性感染症の病原体です。ウイルス性慢性肝炎は放置すると肝硬変や肝がんといった深刻な症状に進行することがあるため、できるだけ早く検査を受けて、感染を知り医療機関で治療を受けることが勧められます。現在、ウイルス性肝炎は薬を飲むことで治癒する、もしくはコントロールできる病気になっています。当科は特にHIV感染者に合併したB型慢性肝炎、C型慢性肝炎の治療に実績があります。病院専属の社会福祉士による社会福祉制度の利用をはじめとした生活支援を行っており、チーム医療体制を整備しています。

肝炎ウイルスについて

A型B型C型D型E型などがあります。

A型E型は、口から水や食べ物などを介して感染することが特徴で、慢性化することはありません。輸入感染症としての側面も持っています。同一の飲食物を介した多くの患者の発生(集団発生)が見られることもあります。

B型肝炎ウイルス(HBV)は血液などの体液を介して感染します。HBVはウイルスの遺伝子型や、感染した時期および感染時の健康状態によって、一過性感染で終わる場合と治療しなければ生涯にわたり感染が持続する場合があります(持続感染)。感染経路は出産時の母子感染と、成人での水平感染(性行為等の濃密な接触、静脈注射薬の乱用、入墨、出血を伴う不衛生な医療行為や民間療法)に分けられます。HBVはワクチンにより感染を防ぐことができますので御相談下さい。

本邦のHIV感染者では、約半数が以前にHBVに感染しており(既感染)、そのうち1割程度が持続感染しています。

C型肝炎ウイルス(HCV)は血液や体液を介して感染します。感染経路としては母子感染、性行為、入墨、注射器の使い回しなどが知られています。ワクチンはできていませんが、通常の社会生活では感染の恐れはないため、食器の共用、入浴、スポーツなどにおける差別など社会的な不利益がないようにするべきです。現在、検査を受けていない人を含めると約100万の感染者がいると考えられており、年間約3万人がHCVによる肝がんで亡くなっています。多くの人に正しい知識をもって頂くことが大切です。

治療には主に下記の3つの方法があります。
HCVを体内から排除することが根本的な治療で、当院で受けることが可能です。

  1. インターフェロンを使用する治療

    従来、HCV感染症ではインターフェロンという注射薬を基本にした治療が行われており、ペグインターフェロンという週1回の注射ですむ薬剤があります。インターフェロン治療では、血中ウイルス量が多い患者さんは効きにくく(少ない患者さんは効きやすい)、日本人では感染者の70%を占める1型(ほとんどが1b型)は効きが悪いことがわかっています(2型は効きがよい)。1型の中の1b型でウイルス量の多い患者さんは、ペグインターフェロンとリバビリンという内服薬の併用療法で約50%が完治しますが、患者さん側の条件として、遺伝子の配列のわずかな違い(遺伝子多型)がインターフェロンへの反応性に強く影響することもわかっており、治療への反応は患者さん毎に異なっています。近年は、C型肝炎ウイルスを直接破壊することができる薬剤(直接作用型抗ウイルス薬、DAA)が発売されペグインターフェロン、リバビリンと併用する3剤療法が可能になり、1b型・高ウイルス量の患者さんでも完治率が向上しました。

  2. インターフェロンフリー治療

    2015年頃からはインターフェロンを使わない治療が主流となっています。「インターフェロンフリー」の治療と言われています。1型に対する経口剤治療薬ダクラタスビルとアスナプレビルの2剤併用療法(24週間内服)、2型に対するソホスブビルとリバビリンの2剤併用療法(12週間内服)、1型に対するソホスブビルとレジパスビル配合錠による治療(12週間内服)、パリタプレビルとオムビタスビル、リトナビル配合錠による治療(12週間内服)などがあります。これにより、インターフェンロン併用治療では治療が難しかった1b型でも95%以上の人でウイルスを体内から排除できます。現在、この治療は慢性肝炎と初期の肝硬変の患者さんに限られており、肝臓の障害が高度(非代償性肝硬変)の患者さんには現在のところ投与することができません。

  3. 肝庇護療法

    HCVを排除できない患者さんには、内服薬や定期的な注射薬により、肝機能を正常に保ち、肝炎の進行を防ぐ治療を行います。

HCVを排除し慢性肝炎が治癒しても、これまで悪くなってきた肝臓が完全に元に戻ったわけではありません。定期的な検査と経過観察を受けることが重要です。